鬼子母神

ボンジュール マダム

お元気ですか。

東北関東の大震災から
早くもひと月が経とうとしています。
被災者の方々の為にも・・こんなにも強く、
暖かな春の来るのが待たれたことは
ありません。

今日いらしたお客様は小さいお子様連れ。
こんな時は、ゆっくりお買物が出来るように
必ず店の誰かがお子様のお相手をしています。
お店には大きい、大きい紙が一杯あるので
それにお絵かきをさせると、もう大喜びで
夢中になって描きまくって、本当に楽しそう・・。
お店の中はさながらミニ幼稚園と化しますが
これも私にとって「店」の理想の一つの形。
自分の経験からですが、
いつも忙しいママにとって、
ゆったりと、安心してお買物ができる・・
そんなお店でありたいと思っているからです。

それでは、連載エッセー [心の糧Ⅱ] 
第14回目をお贈りします。

鬼子母神

鬼子母神(きしぼじん)

韓国のお隣の国は 北朝鮮だよ
韓国と北朝鮮は昔「朝鮮」と云う一つの国だったの 
同じ土壌で 同じ民族なんだよ
この二つの国は
朝鮮戦争で分断してしまったのね

この分断は 
或る日突然行われ
隣町まで用事で出かけていて そのまま
家族の元へ戻れなくなってしまった・・
と云うような
信じられない無慈悲なやり方で
断行されたんだって・・・
だから両方の国には
離れ離れになった家族や親戚が 
一杯いるんだよ

或る日突然 離れ離れにされた家族を持つ
両国にとって 
拉致・・人攫いで受ける家族の悲嘆など
気にもならない事なのだろうか・・
ところが韓国は
そんな「人道」に反する事など しない
北朝鮮は する
それは何でだろう?

その分断は ばあばの小さい頃に行われたの 
そして 年を経るに従って
くっきりと明暗を分けていく両国を見て
不思議で 不思議でならなかったんだ 

アメリカ寄りとなった韓国は
教育制度が作られ
自由思想の元 自由に物を考え 
考える「力」を養い 
心を養うまでに至ったのだろう

そしてソ連寄りの政策を執る事となった
北朝鮮は
思想の自由が奪われ
物事を 自由に 真剣に見る事が許されず
他者とそれについて
本音で語り合い
議論する事も許されず
考える「力」を無くしていったのだろう

考える事を許されない者達には
どんな教育制度が与えられようと
それは 知識を得るに止まり
心を養うまでには至らないのではないだろうか・・
ばあばはそんな風に想像して見たんだ

心を養うって
他の人の心にも思いを馳せ
他の人の事にも気を配る事だと思うんだよ
心を養うことは 
自ずから「人道」に則ることになるんだね

テレビで 北朝鮮の拉致問題が
繰り返し放映されていた頃 
ばあばはお友達と
「何で誘拐するのかねぇ」と云う話になってね
「本当にねぇ・・ 
私は昔 京城にいたんだけど・・」って言うの
そのお友達は 
ばあばより丁度十歳年上だから
その頃はもう小学生だったのね
「親にも 学校の先生にも
『誘拐されるから 一人で歩いてはいけません』
って よく注意されたものよ 
だから集団で登下校したの」
「えぇ 何で誘拐するの?」って言ったら
「日本人は 頭が良くて勤勉だからね 
その優秀な頭脳と しっかりした働き手が
欲しいからだって」
たぶんその頃 親が話していた言葉で 
説明してくれたのだろうね

拉致・・人攫いといえば
ばあばは直ぐに
「鬼子母神」のお話を思い出すの
そうそう いつだったか読んであげた
昔話の中にもあったね

ある「鬼」のお母さんが 
自分の子供に食べさせるために 
次々 よその子供をさらっては 
殺して食べさせていたの
恐ろしいねぇ
鬼のする事だよねぇ

みんな泣き叫び 嘆き悲しんでいるというのに
一向に平気で その所業を続けていたんだって

神様は 鬼のお母さんの子供を隠してしまったの
そうしたら
鬼のお母さんは気違いのようになって
探し回り 泣き叫んだんだって

神様は
「分ったであろう 
おまえのさらった子供の
親の気持ちが どんなであったか」と諭したの

子供を返してもらった鬼のお母さんは
心の底から深く反省し
二度としなかったばかりか
今度は子供を守る神様になったんだって
「鬼子母神」といって
子供が病気や怪我をしないように
みんな お参りする神様だよ

「鬼から神様になちゃうの?」って・・
うん うん そうなんだよ 
みんな 心次第で変わるものなんだよ

だけど 神様が
鬼の子供を 一時隠したからといって 
人がそれをしたら 
犯罪になってしまうんだよ
どうしたら北朝鮮の人に 
拉致された親御さんや家族の悲しみを
分らせたらいいのだろう

「人をさらう」などという
信じられない事を
国を挙げて行うなんて・・・
ばあばは考えてみたんだ
北朝鮮が 他所の国の人をさらってまで
欲しいものは 
頭脳 やるき を持った人間
だったら 拉致された人達と交換に
教育制度作りに手を貸してあげるのはどうだろう

ばあばだったら・・
「鬼子母神」のお話の 絵本を贈って上げたい
君達に読んであげる あの昔話や 伝記の
絵本を贈って上げたい

人ってね 見聞きしたことで
心の持ちようが変わっていくものなの
見聞きするって
実際に自分がその目に遭ってなくても
間接的な経験になるものなんだよ

だってね
君たちも テレビ見たり 映画見たり 
御本読んだり お話聞いたりして
大笑いしたり 
怒ったり
悲しくって涙が出ちゃったりするでしょう・・
そうだよ
心は
その事を
自分の身になって考える性質があるんだね

だからたとえ見聞きであっても 
経験が増え
心が養われ
人間としての幅が出来ていくの

でもねぇ・・・・・ばあばは考えて見たんだ
もしかして北朝鮮は
御本を読むのも
映画を観るのも
物語を聞くのも
人とお話したり議論するのも
全てが「自由」を失っているのではないのか・・って

©ささきけいこ


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