ヘレンケラーのお話

さんまり

2011年05月10日 13:56


ボンジュール マダム

お元気ですか
爽やかな季節となりましたね
店の中も夏服に衣替え。



先日乗ったタクシーの運転手さんが
「お店のウインドウは、きれいですねぇ。
僕、男だけど
おたくの店の前を通るの好きなんですよ。」
って言うので、まり子社長に報告。

気を良くした二人は
「もっともっと素敵に飾ろうね」って
話合いました。

それでは、連載エッセー [心の糧Ⅱ] 
第16回目をお贈りします。



ヘレン・ケラーのお話 
   心の中にも名前がある

ばあばの 小学校の頃の思い出でね
社会科の授業で 先生が
「これを歴史と云います」と
歴史というものの説明をして 
太古から現代に至るまでの 
変遷をたどりながら
今の世の中が 
どんなに進歩し 発展したかを
お話して下さった事があったの

ばあばは そのお話を聞きながら
「文明は進歩するのに 
どうして 人の心は同じ処にいるんだろう」
って 思った・・・

たぶんそれは 
人は 
生まれて
何もない 
ゼロの状態から
「心」を作り上げて
いかねばならないからだろうって考えたの

この前の夜 
「さあ 今日は何を読もうかな」って言ったら 
パラパラ ページを繰っていたゆうちゃんが
「ばあば これ読んで」って言うので 見たら
「ヘレン・ケラー」の伝記だったのね
「難しいお話だなぁ・・解るかなぁ」と
思ったけど 読んであげたんだよ

幼い時 お病気でひどい高熱を出した後
一命は取り留めたけど
目も見えず 耳も聞こえず 口もきけないという
三重苦の人になってしまったケラー

言いたいことも儘ならないから 
やたらに暴れたりして 
手がつけられない状態になっていく我が子を見て
お父さんもお母さんも 
どんなに心を痛めただろう・・

そして
「これは特別な教育をしてあげなくてはいけない」
と考え サリバンさんという女の先生に
お願いしたのね

そこから 二人の苦闘の日々が始まるのだけど
ある日 冷たい水に驚いたケラーを見た時
サリバンさんは
「物には名前があることを教えねば 
何事も始まらない」と気が付き
ケラーの手のひらに
「水」のスペルを書いて
それから 
水を触らせ 
飲ませ
何度も何度も繰り返し
「水」のスペルと
それが「水」であることを教えたのね

いろんな名前を教え
そして名前は
形のあるものばかりに付くのではなく
心の中にも
いろんな名前があることを教えたの

ばあばが そのお話の箇所を読んでいたら
そろそろもう眠るかなぁ・・と思っていた
ゆうちゃんが 
ガバッって撥ね起きて
「ばあば アイってなに?」って 言ったのね

「そうか 
ゆうちゃんの心も 
今から作られていくんだ・・」って 思ったよ

© ささきけいこ